野球部の安全対策 目次

資料を整理していたら、2年半前に役員（指導者）に配布した文書がでてきた。

野球部安全対策　〜事故がおきないために必要なこと〜　

・普段の練習

・練習試合などの学校外での活動

・役員・保護者ができること

・ＡＥＤが必要な理由

・心臓震盪（しんぞうしんとう）とは　　
戸田中央総合病院　救急部部長　輿水健治
　　（http://www.tmg.gr.jp/hokensinpou/040302-shinshintou.html）より引用

・野球少年へのアドバイス（http://www.jcoa.gr.jp/sports/h15/contents/jsh26.html）より

安全対策：野球少年へのアドバイス

野球部　安全対策　〜事故がおきないために必要なこと〜

野球少年へのアドバイス　（http://www.jcoa.gr.jp/sports/h15/contents/jsh26.html）より

少年たちに、野球を楽しく永く続けてもらうために、日本臨床スポーツ医学会は1994年に「青少年の野球障害に対する提言」を発表していますのでご紹介します。

・ 野球肘の発生は11・12歳がピークです。 したがって野球指導者は特にこの年代の選手の肘の「痛み」と「動きの制限」に注意しなければなりません。
・ 野球肘・野球肩の発生頻度は投手と捕手に高い。 したがって各チームには投手と捕手は２名以上育成しておく必要があります。
・練習日数と時間について
小学生では、週３日以内、１日２時間以内が望ましい。
・ 投球数は試合を含めて小学生では１日５０球以内、週２００球以内、１日２試合の登板は禁止すべきです。
・小・中学生にはシーズンオフを設け、その間は野球以外のスポーツも楽しむ機会を与えるのが望ましい。

野球における肘・肩の障害は将来重度の後遺症を引き起こす可能性があるので、その予防のためには指導者と保護者との密な連携のもとで専門医による定期的検診が必要です。

安全対策：心臓震盪とは

野球部　安全対策　〜事故がおきないために必要なこと〜

心臓震盪（しんぞうしんとう）とは
戸田中央総合病院　救急部部長　輿水健治
（http://www.tmg.gr.jp/hokensinpou/040302-shinshintou.html）より引用

胸部に衝撃が加わったことにより心臓が停止してしまう状態。多くはスポーツ中に、健康な子供や若い人の胸部に比較的弱い衝撃が加わることにより起こります。野球のボールが当たったものが最も多く（表1）、他にはソフトボールやアイスホッケーのパックなどが多くみられます。私が日本国内で知り得た症例では６例中の５例が野球のボールですが、３例が競技中の硬式ボールで、２例は遊びでのキャッチボールが当たったもので軟式ボールでした。胸にボールが当たりボールを拾うなどの動作が数秒間みられ、その後倒れ心停止に至ってしまうというのが典型例です。スポーツ以外では、子供同士の遊びのなかで肘や膝などが当たるとか、躾としての体罰などでも起こっています。ですから、何か特別な状況で起こるのではなく、ごく普通の生活の中で起こっていることに注意しなければなりません。特に子供は発育過程にあり胸郭がまだ軟らかいので、前胸部へ加わった衝撃が心臓へ伝わりやすいと考えられています。

心臓震盪はそれまで元気で、何の病気もない子供に起こります。学校の健康診断（心電図検査やレントゲン検査）でも異常がなく、リスクファクターもない子供に起こります。また、特に危険度が高いわけではないスポーツや、遊びのなかでも起こります。ですから事前の健康診断などで発生の危険を予測することができません。しかし、起こりやすいスポーツや状況が判っていますから、注意することによって発生を減らすことは可能です。少なくとも小中学生では大人と同じ硬式野球ボールは使用しないほうが安全でしょう。また、かつての野球練習での指導のように「取り損なったボールは胸に当てて止めろ」などという指導は小中学生にはするべきではありません。前胸部を守る防具の使用も考慮すべきですが、野球ではまだ実用的なものがありません。アンダーシャツの左前胸部にパッドを入れるなどの工夫も良いかもしれません。スポーツや遊びのなかで頭部を危険から守るのと同じように、前胸部も守らなければという意識を持つことも大切でしょう。

心臓震盪から子供を救おうと思ったら、現場で除細動処置を実施しなければなりません。こういった突然死から子供を救うためには現場での救命処置とAEDの設置が必要です。AEDによる除細動を含めた一次救命処置を行えるのは現場にいる人たちです。病院へ搬送していては間に合わない！現場でしか救うことができない命があるのです。

安全対策：ＡＥＤが必要な理由

野球部　安全対策　〜事故がおきないために必要なこと〜

〜ＡＥＤが必要な理由〜

AED（自動体外式除細動器）とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態（心室細動＝致死性不整脈の一つ）になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器。心室細動の唯一の治療方法は除細動器（AEDを含む）で電気ショックを与えることだといわれている。

心室細動の救命率は1分ごとに7〜10％低下するので一分一秒でも早くＡＥＤなどによる電気ショックを行うことが重要。理想は3分以内、１分で取りに行き、１分で戻り、１分で準備して使うことのできる環境。（ちなみに小学校で救急車を要請した時の到着時間は約8〜9分。）

心室細動（不整脈）が発生している場合にはいくら医者や救急隊員がいても、器械がなければ助けられない。反対にAEDさえあれば医者が１人もいなくても目撃した市民がそれを使って助けられることがあると言える。救急車へのアクセスが悪い場所（旅客機、客船、列車など）、心臓病患者のいる場所（学校、職場、住居など）、教育施設やスポーツ施設での設置が必要である。
心臓震盪（しんぞうしんとう　こちらのページ参照）による不整脈にも有効である。

安全対策：役員保護者ができること

野球部　安全対策　〜事故がおきないために必要なこと〜

役員・保護者ができること

・部員全員に「熱中症」や「心臓震盪（しんとう）」についての知識を簡単にかつ正確に説明し、ある程度の自己管理を促す。
・役員同士の『ほうれんそう』（報告・連絡・相談）はこまかく、きっちりと。
　意見を言える、聞ける関係に。独断で決めない。
・役員だけではなく他の保護者とも連携・協力していく。（校外活動での送迎など）
・緊急連絡先の確認　（両親の携帯・職場の番号）
　役員は全員の連絡先が常にわかるように携帯などに登録しておく
　校長先生の携帯番号を知っておくなど
・児童の病歴　個人情報なので強制ではないができる範囲で皆で知っておく（大人も子供も）。
・保護者会を定期的に開催　部活動の活動方針や運営のあり方に理解・協力を得る。
・心肺蘇生法･ＡＥＤ使用法の講習を依頼し参加。
　AEDを使用する場合、合わせて心肺蘇生を行う必要があるので両方の講習を受けることが望ましい。
　野球部員以外の保護者・先生にも参加・協力の呼びかけをする
・ＡＥＤ設置への取り組み　　学校内に設置済み

安全対策：練習試合などの学校外での活動

野球部　安全対策　〜事故がおきないために必要なこと〜

　

練習試合などの学校外での活動

・練習試合の決定は役員同士で相談。（配車の手配・選手の確保など）
・キーパーに水は用意するがコップは準備しない。コップ（または水筒）を各自で持参し、個人のものを使うこと。個人の水筒への水補給はキーパーからする。（風邪などの感染症拡大を防ぐため）
・薬箱・野球道具・キーパーの担当、配車手配を確認
・野球部員以外の児童を連れて行かない。特に１年生など正式に入部していない児童。
　（入部＋保険加入済み児童、または退部した児童を全役員が把握していることが必要）

安全対策：普段の練習

　

野球部　安全対策　〜事故がおきないために必要なこと〜

　

普段の練習

・野球部員以外は練習に参加させない。
・練習は週に３回、一回２時間以内。
（日本臨床スポーツ医学会からの野球少年（小学生）への提言より）
・暗くなる前に帰宅できるよう練習終了時間を守る。（夏季〜６時半、冬季〜６時）
・練習内容を検討　最後は軽いクールダウン的な運動。
・練習前に体調を確認する。無理をしない、させない。
・３０分ごとに給水・休憩　　水筒は各自必ず持参
・帽子未着用やサンダル履きの児童は練習に参加させない。
・野球道具の正しい扱い方を徹底させる。